B-bizジャーナル

イノベーター湯 Vol.27 ニコラス・ライアン さん(株式会社別府ホーム)

目次

別府には別府八湯がありますが、もう一つ隠された湯があります。湧き上がるアイデアを形にした起業家が集まる、その名も「イノベーター湯」。


第27湯目は、別府エリアで不動産売買・海外投資家向け物件・ホームステージング(※)を取り扱っている株式会社別府ホームのニコラス・ライアンさんにお話を伺ってきました。

※売り出し中の家やマンションの室内を家具や照明、小物やグリーンなどでモデルルームのように室内を演出するサービス



ニコラスさんはオーストラリアの出身で、大学時代は鉱山技師の勉強をされていたそうです。「大学生からは自立しなさい」という家の方針から、炭鉱でアルバイトをしながら大学に通っていたそうです。

 


なぜ日本に?

ある時、友達がきっかけでスキーに挑戦してみたところ、すごくハマってしまい、7週間ほど有給休暇をとって、カナダにスキー旅行をしに行きました。その時の私にとって、海外に行くというのは初めての経験だったので、なにもかもが新鮮に思えました。その旅行が終わってから、他にスキーができるところを探していたところ、「今までとは全く違うところに行ってみたい!」と思ったことがきっかけで、2004年の1月に初めて日本に来ました。


来日後は、スキー場が有名である長野に移動して、そこで英会話教室の先生として働いていました。スキーをすることが一番の目的だったので、フルタイムの仕事ではなく、パートタイムの仕事をしつつ、2年間くらいホームステイをしていました。来日時は日本語が全く話せませんでしたが、このホームステイを通して実生活から日本語を学びました。その後は、長野で自身の英会話教室を開き、2006年~2015年まで経営していましたが、オーストラリアに一度戻ったことにより、海外からの遠隔経営が難しくなったため、一度閉めることを決意しました。



なぜ別府に?

結婚してから、一度はオーストラリアに戻ろうと思った時期もありました。オーストラリア北部でリゾートホテルの購入・経営を計画しましたが、直前で前オーナーが音信不通となり、何ヶ月も準備してきた計画が実現できなかったことがありました。その時のことが、すごく悔しく、人も信頼できないような状態になってしまったのです。その時、お父さんがかけてくれた言葉「物事には必ず未来につながる理由がある。今は、辛くてもそれを乗り越えた者は必ず成功を掴む。自分達を信じなさい。」という言葉に救われました。

そこで、アジア圏で再出発しようと考え、カンボジアの田舎の町に移りました。首都プノンペンは、高層ビルや高級ホテルも立ち並び、アジア企業も参入して急成長を遂げています。一方、移住したカンポットという町では、とにかく時間がゆっくりと流れていきます。電気や水が止まることは日常茶飯事で、市場は地面にシートを敷いて品物を生産者から直接交渉で買う路面販売。人柄も良く、食べ物もおいしく、また外国人のコミュニティもあり、地元の生活と欧米文化が混じり合うユニークな街で、不便さはありましたが、「生きている」ことを実感できる日々でした。カンボジアではリゾートホテル向けのコンサルティング業をして生活をしていました。

少しずつ仕事も増え出した時に、たまたま弟の結婚式でオーストラリアに戻った時が、転機でした。
オーストラリアに戻ると、カンボジアでの世界感とのギャップに驚いてしまい、改めて「どこに住みたいか?」ということを妻と一緒に考えました。オーストラリア・カンボジア・日本の選択肢から「どうせイチからのスタートになるなら住みたいところに行ってみよう!」ということで、以前、九州一周旅行をした時に、一番印象的だった【別府】を選び、2012年末に別府に移住してきました。



なぜ不動産業を?


長野で家を探していた時、物件価格が高く、自分たちで探した方が安くて良い家に住めると思ったので、中古の家を購入し、職人さんに直に依頼して家をリフォームしました。長野から離れて、一度オーストラリアに戻ろうとした時に、家の売却を考えており、地元の不動産に尋ねたところ、「価値がない」ということだったので、「もう自分たちで広告を作って、売ろう!」と決めたら、思っていた以上に早くそして金額も満足いく形で家を売却することができたんです。宣伝の仕方や、リフォームの仕方がユニークで、他の不動産会社よりも目立っていたことが良かったのだと思います。そこで、別府に来た時に、長野での経験を活かして不動産業をやってみようと思いました。宅地建物取引業ですので、有資格者が必要だったのですが、奥さんが宅建を勉強してくれて、難関資格であるにも関わらず1回で合格してくれました。


奥さんが宅建の勉強をしている間に、私はいろいろな物件を探しており、買い取ったりしていましたが、奥さんが宅建に合格してから本格的に不動産業を開始。同業者からの紹介や、古い物件を買い取ってリフォーム、再販という繰り返しで始まりました。



色々なことにチャレンジできる理由

安定的なことより、新しいことにチャレンジする方が面白いし、いつも「なんとかなるものだ」と思っています。ずっと同じことの繰り返しをするより、チャレンジをすることでエネルギーも湧いてきます。少しずつ、いろいろな挑戦を繰り返していくことで失敗を恐れず、やり遂げていくことを学びました。
それは、最初に日本を訪れた時の経験が大きかったような気がします。日本語もまったくわからない状態だったのに、日常生活の中ですごく困ったということが特にありませんでした。寝るところと食べ物があれば、それで十分満足で、それ以外に、これをやらなければいけないという縛りがなかったことが、すごく新鮮で、このような状態を経験できたからこそ、「人生そんな難しくない、悩まなくてもいいんだ」と思えるようになりました。それが、いろいろなことに冒険し、挑戦できる理由なのではないかと思います。


苦労すること


日本でビジネスをする、開業するということに対してあまり苦労を感じたことはありません。
言語の面でもあまり苦労することはなく、奥さんのサポートもありつつ、自分が一生懸命伝えようとすると周りの人も助けてくれることが多く、日本人の素晴らしい助け合いの心に支えられているからだと思います。
しかし、たまに日本の方の繊細さが小さなトラブルの原因になったりすることがあります。日本人は礼儀や関係性を重要視するので、家のリフォームを始める前にはお隣だけでなく、もう一軒・二軒先の方まで挨拶をすることなど、ちょっとしたことだけれども、大事なことに気づくことができました。そういうことは、日々の生活から、仕事から勉強させてもらっています。

 



物件に対するこだわり

家のデザインや使う材料などにこだわりを持っています。プラスティックではなくて、できるだけ本物の材料を使うことや、不動産と建築を両方行うことで、他の会社との差別化を図っています。物件をリフォームするときは、大工さんや設計士さんと相談を重ねます。私のアイデアを元に改装していくのですが、できるだけいい素材を使って、できるだけかっこいい改装を目指し、常に自分が住みたくなる家にしようと、全てにこだわりをもって、アイデアを出しています。

最近リフォームをした物件は、リビングダイニングを2階にし、ウッドデッキを併設する欧風スタイルで、風通しと日当たりが良く、他人の目を気にすることのない開放感溢れる造りになっています。さらに生活スペースが2階にあることで、日頃から常に階段の昇り降りをすることで、自然に健康維持に繋がります。古い家の良さを残し、斬新なアイデアで物件の魅力を引き出していくのが本当に楽しいです!

 

最近手掛けた物件のご紹介


before

 

after!

もう同じ家とはまったく思えないような仕上がりにびっくり!!

 

お風呂のbefore

 

after!

以前のお風呂の面影まったくなし!

 

ほかにも、

 

この仕上がり具合!!

 

 

ただいまこちらの物件、売りに出てます
https://www.athome.co.jp/kodate/6972364853/

 

 

将来やってみたいこと

旅館業をやってみたいと考えています。昨年、物件を買い取って設計図まで完成していたのですが、温泉が出ないということで断念しました。ある程度、綺麗な物件だと自分の個性が出せないので、なるべく古いところを改装して、一から作り直して、自分のこだわりの旅館を作ってみたいというのが今やってみたいことです。一から作り直すというところに可能性を感じるし、ワクワクするため、ほかの人が手をつけないような物件にはすごく魅力を感じます!



編集後記

本当に、掘れば掘るほどいろいろな経験談を聞くことができ、一つ一つのお話がどれも衝撃的で印象的でした。
ニコラスさんのお話を聞いて、挑戦やチャレンジしてみることの大切さを改めて感じることができました!

 

事務所に併設している温泉。温泉は毎朝毎晩入るくらい大好きだそうです!


企業概要

株式会社 別府ホーム

TEL:0977-75-8525
営業時間/9:00~17:00(定休/土日祝)
〒874-0021 大分県別府市亀川中央町5番45号
ホームページ:http://www.beppuhome.jp/

 

インタビュアー:清水琴未(立命館アジア太平洋大学 4年生)

TEL 0977-77-4513
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