Creative Workshop in Beppu「若年層の移住」
目次
このワークショップは、これまでの概念や慣行にとらわれず本質的な考え方を学ぶ機会として、様々な分野の第一線で活躍する方を講師に招き行われています。
昨年に引き続き BEPPU PROJECT の山出代表が全体ファシリテーションを務め、参加者の皆さんは日頃なかなか正面から向き合う機会の少ない「町の課題」をテーマについて深く考え、他の参加者の意見を聞きながら「自分ごと」としてその解決策を考えます。
若年層の移住について
なぜ「若年層の移住」がテーマに選ばれたのか?
これには理由があります。
別府市の人口動態を確認すると、①市内には大学があり入学時に学生が別府へやって来ます(社会増)、②就職のタイミングで学生は別府から転出(社会減)、③子育て世代という括りで結婚・小学校の入学・マイホーム購入といったタイミングで転出(社会減)という大きな動きがあります。
この状況だからこそ「若年層の移住」を考える機会が設けられました。
講師は服部滋樹さん(graf代表)
服部さんは大学生の頃バブル崩壊に直面し、就職活動に行き詰まる先輩の様子を見て何か自分で仕事をつくって行かなければならないと思ったことがその後の行動に繋がる。
現在服部さんは、建築・インテリアなどに関わるデザインや、ブランディングディレクションなどを手がけている。(graf代表・京都造形芸術大学芸術学部情報デザイン学科教授)
縦型経済の時代は終わった
20世紀の経済はカテゴリーを作り経済効率を上げるスタイルだった。細分化が進み確かに効率は上がったけど、21世紀はそれとは違う方向性なんじゃないかな。
特に3.11以降はその動きが顕著になってきているように思う。
少年探偵団みたいなチームで仕事をしたかった
バブルの崩壊を目の当たりにし、このままでは「アカン」って思った。
少年探偵団みたいなチーム、それぞれの得意分野があって異業者の人材の集団のような感じで仕事をしたかったからgrafを立ち上げた。
生み出しかたを見直すと出てくるものが変わる
20世紀のデザインは表層を変えるものだったと思うけど、21世紀のデザインは行為そのもののことをいうようになってる。
私たちは普段最終的に出来上がった「広告」の部分だけを見ているけど、本当に大切なのはモノやコトが生まれてくるまでのプロセス。
だからこれからはナゼを伝える「広報」をやっていかないといけない。
(So…Soap!のケース:香港で暮らす女性がつくるハンドメイドのナチュラル石鹸)
単に石鹸を売るという仕事じゃなくて、エコな社会であったり家族の世話をしながら働く女性というようなあらゆることを深くリサーチしてこの仕事が生まれてきた。
プレゼンター
株式会社IDM 樹下さん・天野さん
第二回目となるCreative Workshop in Beppuでは、各テーマにあわせて当事者ともいえる方々に現状をプレゼンしてもらうという仕掛けがありました。
プレゼンターは別府で起業した、株式会社IDMの樹下さんと天野さん。
卒業後に就職、その後起業する場所に選んだのは別府
二人は卒業後に東京の企業に就職。慌ただしく働きながらも自分たちのやりたいことを考えているうちに今の会社をつくることになった。
「ドットを繋いで、どっとおもしろく」これを企業理念としてWeb開発やドローン関連の事業を行っている。
学生達が別府に残らない本当の理由
プレゼンターの二人から、実際に卒業して別府を離れたAPU(アジア立命館太平洋大学)の学友に聞いた別府に残らない赤裸々な理由が伝えられた。
なぜ別府に戻ってきたのか
多くの友人が「魅力的なしごとが無い」といっているが、魅力的なしごとっていうのは明確じゃなかったりする。僕らは大分から世界をどよめかせたいと思っていて、自分たちの仕事を作っている途中。
誰と生きたいか?
実際に別府を離れたという人の意見を聞くと、実は恋人が東京で働いているからという話が多かった。僕達にとってもこのことはとても重要で結局のところ「誰と生きたいか」という問題だったりする。
でも今ここで頑張れているのは応援してくれる人がここにいるからで、今となっては別府は本当に自分達のホームタウンになってます。
プレゼンター
別府市南部子育て支援センター「わらべ」 石和センター長
若年層の移住、先に示した別府市の人口社会増減で③のちょうど子育て世代にあたる実体に詳しい、別府市南部子育て支援センター「わらべ」の石和センター長がプレゼンターとして登場。
別府には実は子育てしている方にとっていろんなサービスがあるのでもっと知ってもらいたいんです。
最近良く子供を預けられないというニュースもあったりしますが、別府でも希望する保育所に入れなかったりという相談を受けます。
子育て支援センターと併設している児童館、子ども達の中には他に行き場の無い子どももいる。
出来るだけのことはしてあげたいと思うけど、やっぱり限界がある。
でも、今は子育て支援のネットワークが充実してきたところ。地域で協力して子育てしやすい環境づくりを行っている。
ワークショップの様子
その後、これまでの話をインプットした状態でワークショップへ。
別府にあるもの、別府に無いもの
参加者で「別府にあるもの、別府に無いもの」を付箋に書き出しカテゴリー分け。
「あるもの」x「あるもの」からここにしかない新しいモノやコトを創造する
既にあるもの同士をかけ合わせ、今までにない新しい商品・サービスを考えるプロセスを各チームごとに実践。
「若年層の移住」を通じて
若い人たちの中に形成された別府のイメージをどう塗り替えていけるか、地域での新たな仕事づくりをどのように支援できるか、そしてこの場で出てきたアイデアを実現していくためには何が必要なのか。
このような具体的な課題の解決に向けてB-biz LINKが皆さんとともに取り組んでいけることは多くありそうです。